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あの悲しみ、あの慟哭、あの狂態・・・哀しみを全身で表現する役者の姿

韓国国立劇場『胎』
鑑賞日:7月11日(土) 14:00~
男性

 韓国現代演劇を観たのは初めてでした。大学院で現代文学の研究をしている時に、韓国からうちの院に来た方がいました。彼女は韓国と日本の戦後女性作家の作品を比較文学として研究されていたのですが、その縁もあって、同時代の韓国の作家の小説や詩などを翻訳という形ではありましたが、読む機会を持つことができました。  
 そういう縁があったので、今回の『胎』についても、彼女がすごく感心し、褒めていたのもあって観たいと希望することになりました。運良く、このような機会をいただけて大変ありがたく思っています。

 舞台装置も特別凝ったものではなく簡素で、登場人物の衣装もオーソドックスに感じました。そういう点では奇を衒うものはなかったように思います。ですからすごく正攻法で舞台がつくられているなあと感じました。それは自分にはとても感じのよいものでした。

韓国の伝統楽器、パンソリ、役者の所作、それらが一体となって演じられる舞台はすごく心地よかったです。際立って異文化のものだなと思うこともなく、舞台作品としてまとまったものになっていたように思います。

 そうしたなかで、半狂乱の母親とその夫の困憊ぶりが際立って異質なものとして自分の中に残りました。あの悲しみ、あの慟哭、あの狂態。最底辺に暮らす夫婦の身の上に起こった哀しみ、それを全身で表現する役者の姿に強く心を打たれました。そしてそれだけに、記憶にも残っています。

 今回はプレトークもあり、普段馴染みのない韓国の演劇作品を楽しむという上では、およそベストな機会が揃っていたように思います。これを機会に、パブリックシアターでもますますこういうプログラムが増えたら面白いだろうなと思います。

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2009年07月31日 21:00に投稿されたエントリーのページです。

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