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舞台探訪、もう一人のオスカー・ワイルド

『ドリアン・グレイの肖像』
鑑賞日:8月21日(金) 19:00~
男性

 「幸福な王子」という短編小説があります。ある町の中心部にそびえる金箔の王子像が、さまざまな苦労や悲しみの中にある人々のために、自分の体に覆われた金箔をツバメに託して分け与えるという物語です。作者はオスカー・ワイルドです。そのオスカーが長編として書き上げたのが「ドリアン・グレイの肖像」です。

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『ドリアン・グレイの肖像』舞台写真 photo by 石川純

 王子のやさしさが、異質の美学を求めていました。今回の観劇、私はもう一人のオスカーをたずねてみたいと臨みました。見終わった後、心が沈黙しました。耽美な世界、そしてオスカー・ワイルドの懊悩を共有したようです。ドリアンの肖像を装飾していた額が劇場全体をも縁取り、前嶋康明さんのピアノ演奏とともに私をそのなかに引きずり込もうとしていました。

 時代劇の顔からトランスファーした山本耕史さん、彼にはコニャックのような優美さがあります。ドリアン風のコニャックをそれぞれの舌で味わうのもいいかも知れません。飲み終わった後(観劇後)、酔い心地を語り合ってみるのもお芝居を見たときの楽しさではないでしょうか。5年後、10年後に山本耕史さんが演じるドリアンを見たい気持ちにさせられました。
          
 劇場内で販売していた原作を買い求めました。少し読んだあと、完読をためらいました。原作を読むと潤色されたお芝居の風味が壊されると思ったのです。いい演出なら、2時間あまりの舞台でおおよそのことが咀嚼できるのでは。鈴木勝秀さんの脚本は、それを可能にしてくれます。 

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2009年08月21日 19:52に投稿されたエントリーのページです。

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