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<区民レポーター>気分晴れやか、明日からの人生にエネルギー。恐るべし、妙―ジカル! 

シアタートラム ネクスト・ジェネレーション vol.2
FUKAIPRODUCE羽衣 『あのひとたちのリサイタル』

世田谷区芸術アワード“飛翔”2008受賞者公演

鑑賞日:1月31日(日) 19:00~
男性

 「妙―ジカル」。このヘンテコなキーワードとの出会いが、まさに僥倖だったと言うしかない。観に行く演劇の選択基準が、「有名な俳優もしくは演出家のもの」、あるいは「有名な作品」である私にとっては、通常であれば全く出会うことがなかったFUKAIPRODUCE羽衣作品。ただ、「妙―ジカル」というその妙な響きに惹かれ、今回の応募に至った。

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撮影=田中流

 青を基調としたサイケデリックなプールのような床に、顔の所がくり抜かれている9つの人物画。その後ろにはドラム、ベース、ギター。「人生を春夏秋冬になぞらえて描く物語」というありがちな紹介とは裏腹に、桟敷席に囲まれた舞台は不可思議な空間を作り出し、立ち見客であふれた場内は、期待と熱気であふれていた。

 真っ暗な中での開演。セリフのみで始まる舞台は珍しくないが、それが10分くらい(?)続くとなると別だろう。暗闇の中で複数の男女が、エッチな会話を紡いでゆく。生を受けるための儀式が済み、双子の画家が『あのひとたちのリサイタル』と称する、名も無い人々の人生を振り返っていく物語が始まる。 

 演出の糸井氏はそれを「短編集のような」と表現していたが、春夏秋冬それぞれになぞらえて描かれる人々の営みには波乱万丈なストーリーが無くとも、淡々と舞台と客席を走り回る男性が人生という大きな時の流れを表現しつつ、舞台上で繰り広げられる数々の歌と踊りとドラマが、笑いと切なさを纏って心に沁み入ってくる。  

 一番無邪気で楽しい春からスタートし、重苦しい夏、孤独な秋、終わりの冬へと続く物語は、本来であればかなり重たい印象になる筈なのに、2時間20分があっという間に感じられ、鑑賞後の気分が何故か晴れやかになり、明日からの人生にエネルギーをもらった気持ちになれた。 恐るべし、妙―ジカル! 

 時が経てば演出も変わるだろうし、逆に自分が年をとれば、感じ方が変わる作品だと思うので、是非いつかまた再演して欲しい。

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2010年02月19日 19:14に投稿されたエントリーのページです。

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