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<モリー・スウィーニー> 今から歩き始めています。

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『モリー・スウィーニー』をより深くお楽しみ頂くために・・・
創作過程を翻訳・演出を担当する谷賢一さんから、定期的にお届けいたします。

今回は第一弾です。
それでは谷さん、お願いいたします。

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先日、目を閉じて歩道を歩いてみた。

 この6月にシアタートラムで翻訳・演出させて頂く『モリー・スウィーニー』は、盲目の女性を主人公にしたお芝居である。ならやっぱ、これくらいやっとかないと。そう思い、顔合わせ兼読み合わせの現場へ向かう道中、目を閉じて歩道を歩いてみた。

靴の裏に点字ブロックのでこぼこを感じながら、そろそろと一歩一歩、甲州街道脇の歩道を進む。
思ったより怖いという印象はなく、むしろ楽しい。ブレーキを踏まずに坂道を自転車で駆け下りるときや、高い高いビルの上から街並みを見下ろすときなんかに感じるような、命が脅かされているスリルに裏打ちされた興奮と歓喜、あれに似ている。街の騒音に埋没してしまって普段は聞かないたくさんの音が聞こえ、コートの袖の隙間から流れ込む風の肌触りに真新しい刺激を感じた。通い慣れた道なのに、まったく新しい道を歩いているような。
これはちょっと面白い。

 でも、曲がり角で点字ブロックが終わり、どう左に曲がっていいかわからなくなったところで、僕は目を開いた。あっさり敗北。また今度挑戦してみよう。

 その後、読み合わせの現場に到着。翻訳はもう終わっているのだが、本番用に微調整をするため、出演者一同を集めて声に出して台本を読んでもらった。これもまた、スリルに裏打ちされた楽しさ。僕は今年まだ28歳で、相手にしているのはスターでベテランで大物な方々である。台本も気の抜けない、濃密な本で、僕は「いいですねー」とか言ってへらへら笑いながらも、胃袋の脇がきゅっと締まるような感覚を始終感じていた。台本の読み合わせなんか、今まで数え切れないくらいやってきたのに。

 南果歩さんは芯が強くて、でもお茶目で愛嬌のある人。
 相島一之さんは柔和で陽気で、しかし刃物のように怜悧な人。
 小林顕作さんは面白おかしくて、そしてとにかく面白おかしい人だった。

molly_main02.jpg
相島一之/南果歩/小林顕作
撮影:上原勇(SUN-AD)

 読み合わせ終了後、ここまで二人三脚で企画を進めてきたプロデューサーと目を合わせ、ばっちりじゃん、とほくそ笑んだ。

 上演は6月ですが、今から歩き始めています、『モリー・スウィーニー』。
 目を閉じて、そろそろと。どうぞお楽しみに。

『モリー・スウィーニー』 訳・演出 谷 賢一

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【公演情報】
『モリー・スウィーニー』 作:ブライアン・フリール 訳・演出:谷 賢一
出演:南果歩、相島一之、小林顕作
シアタートラム 2011年6月10日(金)~6月19日(日) 
公演詳細情報はこちらへ
世田谷パブリックシアターon twitter

◎前売り開始:4月16日(土)
4月4日(月)までに世田谷パブリックシアターオンラインチケットにご登録【無料】頂くと、
オンライン特別先行発売をご利用いただけます。

◎前売り取扱い
  世田谷パブリックチケットセンター 03-5432-1515 (10:00~19:00)
  世田谷パブリックシアターオンラインチケット
   パソコン http://setagaya-pt.jp/
   携 帯  http://setagaya-pt.jp/m/

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2011年4月 1日 21:56に投稿されたエントリーのページです。

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